片野洞穴(志布志町内之倉片野)
片野洞穴は鹿児島県の考古学史に残る大隅半島を代表する縄文時代の遺跡です。
前川の支流で標高約100mに位置し、市街地より約11㎞、入口の高さ約8m、幅約12m、奥行き約70mの洞穴です。昭和39(1964)年に発掘調査が行われ、縄文時代前期~弥生時代後期の遺跡であることがわかりました。
縄文時代前期の住居跡や縄文時代後期のかんざしや釣り針など骨角器なども出土しました。
また、洞穴は、海岸からはかなり内陸に入っていますが、淡水産は少なく、海水産の貝類が9割を占めていました。出土した獣骨には、イノシシ、シカをはじめタヌキ、アナグマ、ノウサギ、ムササビ、ニホンザルのほか現在は、九州には生息しないツキノワグマの骨も見つかっています。
一方の薩摩半島側にある日置市吹上町黒川洞穴では、ツキノワグマとオオカミの骨も出土しています。
縄文時代後半の西平式土器
片野洞穴
志布志市ホームページ「【指定文化財】片野洞穴」(最終閲覧日:2024年2月20日)
https://www.city.shibushi.lg.jp/soshiki/22/1462.html
【参考文献】
1)西中川駿・松元光春・鈴木秀作・大塚潤一・河口貞徳「古代遺跡出土の動物骨に関する研究」『鹿大農学術報告』第32号 1982年
2)河口貞徳「鹿児島県片野洞穴」『日本の洞穴遺跡』1967年
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